銀河英雄伝説 ON THE WEB

Interview

第17回 三石琴乃<カリン>「2001年DVD制作時インタビューより抜粋」

勝ち気なカリンの、不器用で可愛い“女の子”の部分を表現

 ユリアンと恋仲になり、ヤン亡き後の彼を支えた、気の強い少女・カリン。実は、シェーンコップの庶子であり、父親に対しては愛憎半ばする複雑な感情を抱いている。そんな彼女の揺れ動く心情や、ユリアンへの不器用な恋心を見事に演じきった三石琴乃が、カリンについて語った。



――カリンという人物について、どのように思われますか?

 最初にカリンを見たのは、オーディションのときのキャラ表です。結構(性格が)きつい子なのかな、と思いました。まず、顔つきがきついですし(笑)。笑うととても可愛いんですけどね。育ち方があまり恵まれていないことと、不器用な子であることを知って、「ああ、好きになれそうだなぁ」と思いました。
『銀河英雄伝説』がとても凄い作品だというのは知っていましたし、私から見ると大ベテランの、普段ご一緒できないような声優さんたちがレギュラーで演じていらっしゃって、そこに自分も参加できるというのが、本当に光栄で嬉しくて、最初は凄く気合いを入れて行きました(笑)。でも、初めは出番も台詞も少ししかなくて、なかなかカリンの本質というか、どんな子なんだろう?というのを掴みにくかったですね。けれど、回を重ねていくうちに、父親(シェーンコップ)との確執や、あと、ユリアンとの淡い恋愛の話などが描かれてきて、軍隊に入っているような勇ましい女性なのですが、意外と普通の“女の子”の部分を持っているんだなあ、例えば恋に関してはちょっと不器用だったりする、本当に可愛い女の子なんだなあ、と分かっていきました。
演じるにあたっては、きびきびと勝ち気そうに話すことを心がけていましたね。エネルギーがあり余っている感じが出せればいいなあと、出来るだけテンションを上げて演じるようにしていました。

――アフレコでのエピソードがありましたら、教えてください。

 いちばん印象に残っているのは、最初に彼女の私的な感情を表現したシーンです。父親であるシェーンコップに、「自分がイゼルローン要塞奪取作戦から外されたのは何故!?」と直談判しに行くんです。(DVD19巻 第74話「前途遼遠」より)あの場面は、実は、テストのときは、シェーンコップ役の羽佐間(道夫)さんは、カリンにとても優しく言い聞かせるような感じで演じていらっしゃったんです。結局、シェーンコップのキャラクターとしては、そこは厳しく、冷たく演じてください、という指示があって、皆さんがご覧になっているような、少し冷たいお芝居になったのですが……。思わず「お父さーーん!」って抱きつきたくなるような心の広い父親であるシェーンコップを、一瞬、私だけが、垣間見ることができたんです(笑)
それから、その父親が亡くなったという知らせを受けたときの、憎んでいた父親ではあるけれど、それでも悲しい……という気持ちを表現したシーンも印象に残っています。(DVD28巻 第109話「黄金獅子旗に光なし」より)そのときに、子守歌を……アカペラで(笑)歌ったんです。レコーディングスタジオでちゃんと歌うのではなくて、カリンの気持ちになって口ずさむ、という雰囲気で歌いました。歌の出来は……かなり、いえ、いっぱい練習して臨んだ割には……(笑)、とても緊張したし……まあ、お聞きの通りです!(笑)

――『銀河英雄伝説』についての印象をお聞かせください。

 私が声の仕事をする前から知っていた作品なので、参加できることをとても嬉しく思っていました。たくさんの登場人物のいろいろな生き方や人生がきちんと描かれていて、それらが入り乱れての人間ドラマがあって、とても好きな作品です。戦争ものとはいえ、どちらか一方が悪いというのではなくて……その名の通り、宇宙より壮大な物語だと思います。  
戦艦同士が戦うシーンで、BGMにクラシックが流れているというのも、私の中では「ああ、クラシックがこんな風にはまるんだ!」と、とても衝撃的でしたね。

< 三石琴乃  プロフィール>

12月8日生まれ、東京都出身。アーツビジョン所属。
「美少女戦士セーラームーン」(1992〜95年 テレビ朝日)の月野うさぎ役で爆発的な人気を得、以後声優としての地位を確立した。出演している主なアニメーション作品には、OVA・TVシリーズ「新世紀GPXサイバーフォーミュラ」(菅生あすか役 1991年 日本テレビ)、OVA「アイドル防衛隊ハミングバード」(取石皐月役 1995年 東宝)、映画・TVシリーズ「新世紀エヴァンゲリオン」(葛城ミサト役 1995〜96年 テレビ東京)、映画・TVシリーズ「ドラえもん」(野比玉子役 2005年〜 テレビ朝日)などがある。