第18回 速水 奨<ファーレンハイト>「2001年DVD制作時インタビューより抜粋」
一見クールな勇将の内に秘めた熱い感情を演じきる
用兵に関しての才能を誰もが認める勇将、ファーレンハイト。しかし、彼は、ラインハルト麾下で最初に戦死した上級大将となった。最後の敵、メルカッツを前にしたときの「よろしい、本懐である」という台詞の誇り高く毅然とした響きが印象的である。演じた速水奨が、語った――。
――ファーレンハイトという人物について、どのような印象をお持ちですか?
一見クールに見えますが、内に熱いものを秘めていて、だからこそ義に篤く、男らしい人物だと思います。そして、大局的にものを見ることができる軍人ですよね。下級貴族の出身なんですが、軍人としての非凡さが認められて、どんどん出世していく……。それでいて、軍人という枠には縛られていない、ひとりの人間として自由な人物なのではないかと感じました。
――演じる上で苦労したのはどういう部分ですか?
苦労するというか……、シーンごとに展開されていくドラマを、新鮮さを持って演じていたので、苦労というよりも楽しさの方が大きかったですね。ただ、収録が、1シーンごとに収録するというやり方だったんです。普通の30分のアニメーションの場合は、前半15分、後半15分に分けて一気に録るのですが、この『銀河英雄伝説』は、本当に1シーンずつ、まるで映画のように録っていったので、自分のテンションを保つのに少し苦労したというのはあります。
――アフレコでのエピソードがありましたら、教えてください。
割と大きなスタジオで、暗い照明の中で収録を行なったのが、気持ち良かったですね(笑)。まるで自分がファーレンハイトになったかのような雰囲気の中で録音ができました。ただ、本当に出演している声優の人数が多かったので、(別々の収録になって)同じ話数に登場しているのにお会いできない方がたくさんいらっしゃったのは、少し残念でした。
――『銀河英雄伝説』という作品について、どのように思われますか?
DVDで45枚!(笑) これは、快挙と言って良いと思います。他には誰も為し得なかったことなのではないでしょうか。それを実現したスタッフの勇気と努力に拍手を送りたいと思います。
< 速水 奨 プロフィール>
8月2日生まれ、兵庫県出身。大沢事務所所属。
青年座養成所から劇団四季を経て声優の世界へ入る。出演している主なアニメーション作品には、映画・TVシリーズ「超時空要塞マクロス」(マクシミリアン・ジーナス役 1982〜83年 毎日放送)、TVシリーズ「超時空世紀オーガス」(桂木桂役 1983〜84年 毎日放送)、TVシリーズ「横山光輝 三国志」(諸葛亮孔明役 1991〜92 テレビ東京)、OVA・TVシリーズ「炎の蜃気楼」(直江信綱役 2002年 キッズステーション)、映画・TVシリーズ「鋼の錬金術師」(フランク・アーチャー役 2003〜04年 毎日放送)など多数がある。