銀河英雄伝説 ON THE WEB

Interview

第2回 田中芳樹(原作)  「2001年 DVD−BOX制作決定時インタビューより抜粋」

小説・アニメの枠を超え共有できる“銀英”世界

 アニメーション『銀河英雄伝説』全165話の制作が終了したのは、最初の劇場版長編作品『わが征くは星の大海』が制作されてから12年が経った、2000年のことであった。その翌年、全45巻のDVD−BOXの通信発売が決定し、原作・田中芳樹が改めてアニメ版『銀河英雄伝説』を振り返った。



――今、アニメをご覧になって、どのような印象ですか?

 文章で書いているときには、「気の利いた台詞が書けた」と言って喜んでいる台詞も、声優さんの声で実際に言われると、もう照れくさくなるばっかりで(笑)

――初めて声優の声を聞いたときは、どうでしたか?

 そもそもの最初に、主演の声優さんを決めるときに何組かの方たちの声を聞かせて頂きました。1組聞くと「これだな」と思うのですが、次の組を聞くと「ああ、こっちもいいな」となり、もう途中で辞めました(笑)。 専門家にお任せして、出来上がったものを楽しませて頂くことに決めました。

――ここまで支持されてきた理由について、どのようにお考えですか?

 アニメは、第三者の立場に立って見てみますと、ひとえにスタッフの熱意が視聴者に通じたのだと思います。原作(小説)に関しては、実は、作者としても分からない・・・。それが分かったら、次から次へとミリオンセラーが出せるんだろうな、と思うのですが、なかなかそうもいきません(笑)。 文章で表現するのに苦労したスケール感みたいなものを、画面で絵にしてはっきり見せて頂くと、自分がこのあたりを書くときにはどんなに苦労したか・・・と思い出されますね(笑)

――アニメ化に関して、他に何かエピソードがあったら教えてください。

 20代の方に、「『銀英伝』を読んでます」とか、「小学生の頃にアニメを見てハマりました」などと言われると、しみじみと「ああ、年を食ったなあ」と腰を叩くような感じになります(笑)。最初に原作を読んでからアニメを見たというファンと、アニメから入って原作を読んだというファンで話をしても、僕は、話が合うのかなあと思ってしまうのですが(笑)、ファン同志でそれぞれの思いを語り合って、結構仲良くやっているという話を聞くと嬉しいですねぇ。自由に見て頂いて、他の人には分からないかもしれないけれど、自分にとってはここがベストだ!という所を見つけて頂ければ、それがいちばん嬉しいです。

<田中芳樹 プロフィール>

1952年10月22日生まれ。
1978年、「緑の草原に……」で幻影城新人賞を受賞してデビュー。
1988年、「銀河英雄伝説」で星雲賞(国内長篇部門)受賞。

主な作品に、「銀河英雄伝説」 (1982年〜 徳間書店刊)、「創竜伝」 (1987年〜 講談社刊)、「薬師寺涼子の怪奇事件簿」(1996年〜 講談社刊)、「アルスラーン戦記」 (1986年〜 光文社刊) など多数がある。



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