第23回キートン山田<キャゼルヌ>「2001年DVD制作時インタビューより抜粋」
キャゼルヌの“生活感”を演じてこの作品唯一のホッとする場面を提供
デスクワークの達人で、「キャゼルヌがくしゃみをすればイゼルローンが風邪をひく」とまで言われた。その才幹でヤン艦隊を政治的に支える彼は、ヤン艦隊唯一の妻帯者でもあり、妻に頭の上がらない良き夫として、本作品においては珍しいほのぼのとした味わいも醸し出している。そんなキャゼルヌを演じたキートン山田が語った――。
――キャゼルヌについてはどのように思われますか?
周りにワイルドな男たちばかりいる中で、ちょっと普通っぽいというのか、どこにでもいそうな人物ですが、彼の存在が作品中で唯一ホッとできる部分なのではないかと思いながら、演じていましたね。彼の家庭持ち、子持ち、という部分に絡んだ会話が出てくると、作品の雰囲気がなごみますよね。堅いことばかり言っている軍人ではなく、生活感がある人物だったので、やりやすかったです。
たまに出て来るキャゼルヌの奥さん。あの奥さんに、手厳しく突っ込まれたり小言を言われたりしていましたね(笑)。 私自身は、あの程度なら許せますけどね(笑)。 センスがあるし、可愛いですよ。ああいう現実的な面が作品の中にちらっとある所がまた良かったのではないかと思います。
役作りの苦労は、いちばん最初の段階では少しありました。もう少し甘い感じかな……、などの試行錯誤はありましたね。そうやって作っても、次のシリーズに入るまでしばらく間が空くと、その感覚を忘れてしまっていて、(音響監督から)注意されて思い出して……。前のビデオをもう1度見直してみたりとか、そういうことはしました。
――ヤンという人物に対しては、どのような印象がありますか?
仕事に対して一生懸命、真面目に考えて取り組んでいる所は偉いと思います。その点、キャゼルヌは、「まあ、いいか」みたいな所がありますからね。そういう所がまた、僕は好きなのですが……。(ヤンのような)ああいう生き方は本当に疲れると思います。もう、「ご苦労さん」って言ってあげたい(笑)。ヤンがいたからこそ、キャゼルヌがあんな風にお気楽でいられた部分もあると思いますしね。
――『銀河英雄伝説』という作品に、どのような印象をお持ちですか?
最初は、こんなに長く続くとは思わなかったですね(笑)。
「ええーっ、まだ続くの!?」という感じでずっと続いて……今や、超大作です! しかも、内容が深く、見て頂いているのは結構大人が多いですよね。数えきれないほどいろいろな声優が出ていますし……とにかく、思い出に残っている作品です。
どこに行っても、若い人にサインを頼まれて、『ちびまる子ちゃん』(1990年〜 フジテレビ)のファンかと思っていたら、「『銀河英雄伝説』のキャゼルヌでお願いします」と言われることがよくあります。見て頂いて、本当に感謝ですねぇ。この作品は、宝になると思います。僕も、いつか最初からまとめて見てみたいです。何人かで集まって、酒でも飲みながら……。ちょっとした鑑賞会のようになるかもしれませんね(笑)
< キートン山田 プロフィール>
10月25日生まれ、北海道出身。リマックス所属。
自らの劇団gekifuriを主宰するとともに俳優・ナレーター・声優として活躍している。出演している主なアニメーション作品には、TVシリーズ「一休さん」(足利義満役 1975〜82年 テレビ朝日 ※山田俊司名義)、映画・TVシリーズ「サイボーグ009」(アルベルト・ハインリヒ役 1979〜80年 テレビ朝日 ※山田俊司名義)、映画・TVシリーズ「ベルサイユのばら」(アラン・ド・ソワソン役 1979〜80年 日本テレビ ※山田俊司名義)、OVA・TVシリーズ「MASTERキートン」(ナレーション 1998年 日本テレビ)、映画・TVシリーズ「ちびまる子ちゃん」(ナレーション 1990年〜 フジテレビ)など多数がある。