銀河英雄伝説 ON THE WEB

Interview

第25回青野 武<ムライ>「2001年DVD制作時インタビューより抜粋」

喜怒哀楽を抑え、“内に秘めたテンション”を表現

 長くヤンの参謀長を務め、いい加減でお祭り好きの人物が集まったヤン艦隊の良識と秩序をひとりで背負って立っていたムライ。堅苦しく口やかましい存在であったが、自らの役割をきちんと把握しており、黙々とそれを果たした。そんな隠れた名参謀について、演じた青野武が語った。



――ムライについて、どのような印象をお持ちですか?

 喜怒哀楽をほとんど表面に出さず、どちらかと言うとクールで、僕が昔演じた『宇宙戦艦ヤマト』(1974〜83年 日本テレビ)の真田(志郎)のように、激することのない、沈着冷静な印象です。
緊迫した場面になると、どうしても激して声を張って演じてしまいがちですが、それを抑えて演じました。テンションを上げるのではなく、内に秘めているテンションと言いますか……そういう内面的な部分が伝わる演技を心がけたつもりですが……。
ムライは、戦闘のシーンにはあまり登場しませんでしたね。後方でいろいろ作戦を練る、といった仕事が多い役でしたから、作戦会議でクールに発言している、その延長線上の演技が多かったです。

――ムライを演じる上で苦労したのはどういう部分ですか?

 初めの頃は、ムライの感情を自分に引っ張ってくるというか、自分の感情に当てはめるような感じで、割と喜怒哀楽を激しく表現していたような気がします。ですが、(明田川進)音響監督のアドバイスもあって、だんだんそうではないクールな表現方法に切り替えていったような記憶があります。

――『銀河英雄伝説』という作品について、どう思われますか?

 本当に壮大な“絵巻物”ですよね。初めてご覧になる方も、心して見てください。きっと飽きることなく、逆にどんどん惹き付けられていくはずです。そういう作品なので、是非1度見てみてください。

< 青野 武 プロフィール>

6月19日生まれ、北海道出身。青二プロダクション所属。
劇団芸協を主宰している。出演している主なアニメーション作品には、映画・TVシリーズ「宇宙戦艦ヤマト」(真田志郎役 1974〜83年 日本テレビ)、映画・TVシリーズ「ドラゴンボール」(ピッコロ大魔王、神様、ムラサキ曹長役 1986〜89年 フジテレビ)、TVシリーズ「美味しんぼ」(快楽亭ブラック役 1988〜92年 日本テレビ)、映画・TVシリーズ「ちびまる子ちゃん」(さくら友蔵役[2代目] 1990年〜 フジテレビ)、TVシリーズ「交響詩篇エウレカセブン」(アクセル・サーストン役 2005〜06年 TBS)など多数がある。