――イワン・コ−ネフとケッセルリンクの2役を演じて、如何でしたか?
2役を演じさせて頂いたと言っても、幸いなことに、このふたりが直接会話を交わすことはありませんでした(笑)。イワン・コーネフのほうが出番が多かったのですが、相棒の古川登志夫さん演じるポプランと丁々発止のやりとりをしていた印象が強く残っています。もうひとりのケッセルリンクは、出番としては少なかったのですが、いかにもウラのある性格で……(笑)。 そういう意味では、全く対照的な役柄をふたつ演じることができたのは、面白い経験でした。
2役だからと言って、敢えて“こういう風に演じ分けてやろう”というような意識はなかったですね。最初はイワン・コーネフだけを演じていて、ケッセルリンクは、その途中で頂いた役だったんです。だから、“あっ、今度は違う役をやるんだ”と、台本を読むと、もうその段階で今までとは全く違う役だったので、「これは、ある意味“遊び”ができるなあ」と思いました。その通り、結構自由にやらせて頂きましたね(笑)
当時の僕は、常道でキャスティングをするのであれば、多分ケッセルリンクだったと思うんです。ですが、音響監督の明田川 進さんが、敢えてイワン・コーネフ役を僕に振ってくださったということは、“軽さのある”演技を僕に要求なさっていたのだと思ったので、とにかく最初はずっと、これから戦闘に行くという緊迫したときなのに、そこでジョークを交わしたり、といった軽妙なノリの部分をいちばん意識して演じていました。
――『銀河英雄伝説』について、どう思われますか?
なんて壮大なドラマなのだろうと、とても印象的でした。
それから、スタジオでは1度もご一緒できなかったのですが、僕の本当に大好きな大先輩の富山敬さん!……もう、いなくなってしまいましたが……。その富山敬さんの演技をたっぷりと堪能して頂きたい作品です。
鈴置洋孝さんは、2006年8月6日、肺癌のためお亡くなりになりました(享年56歳)。
ご逝去を悼み、心よりご冥福をお祈り申し上げます。