第34回政宗一成 <グリーンヒル>「2001年DVD制作時インタビューより抜粋」
“軍人らしさ”を敢えて排除し、公私の区別なき良識ある軍人を演じる
フレデリカの父親で、同盟軍の中でも良識派と目されており、軍部内では数少ないヤンの理解者のひとりでもあったドワイト・グリーンヒル。しかし、「同盟の腐敗を軍部の力で立て直す」という理想を追い求めて暴走し、クーデターを敢行する。その強い信念によって、結果的に悲劇への道を突き進むこととなってしまった男を演じた政宗一成が、語った――。
――グリーンヒルについては、どのように思われますか?
「おぉ、格好良いおじさんだなあ!」と思いましたよ(笑)。 なかなか渋めの、良識のある軍人だったと思います。それでいて、割と家庭的で女房思いで……。亡くなった奥さんに「なあ、母さんや……」なんて娘のことを語りかけるモノローグがあったことを覚えています。
演じるにあたっては、ひとりの人間として公私を問わず全ての面で同じ調子である人物を心がけていましたので、軍人だから強い口調で軍人らしく話す、などといった作業は敢えてしないようにしたつもりです。
――アフレコに際して、何かエピソードはありますか?
シーンごとに収録をしていくやり方で、ストーリーの流れでは録っていないので、記憶は曖昧なのですが、とにかく、非常に和気藹々としたいい雰囲気で収録していましたね。
ひとつだけ気になったのは、台詞のテンポが結構早かったことです。間がない、溜めがないというか、とにかく台詞としてはかなり早かった。だから、「これでいいのかなあ?」と半信半疑でしたね(笑)。こちらとしては、もっと考えながら、「なあ……、母さんや……」という具合に、もう少し勿体を付けて言いたいわけですよ(笑)。 ところが、収録はどんどん進んでしまうものだから、少し恐ろしいような気がしていた覚えがあります。
――『銀河英雄伝説』について、どのような印象をお持ちですか?
“超大物作品”という印象がありますねぇ。もう10年以上も前の遠い過去のことなので、細かい記憶は定かではないのですが……、アオイスタジオという大きなスタジオの、それもいちばん大きなスタジオで収録をしていたので、「ああ、これは映画並みの大掛かりな録り方だ」と思ったことを覚えています。
< 政宗一成 プロフィール>
12月2日生まれ、広島県出身。シグマ・セブン所属。
テレビ番組のナレーターとしての活動が多く、特に「戦え! 超ロボット生命体トランスフォーマー」シリーズのナレーションは有名。声優として出演している主なアニメーション作品には、TVシリーズ「機動戦士ガンダム」(パオロ・カシアス、ガイア役 1979〜80年 テレビ朝日)、TVシリーズ「装甲騎兵ボトムズ」(ル・シャッコ役 1983〜84年 テレビ東京)、映画・TVシリーズ「戦え! 超ロボット生命体トランスフォーマー」(ナレーター、サウンドウェーブ役 1985〜86年 日本テレビ)、映画・TVシリーズ「逮捕しちゃうぞ」(課長役 1996〜2002年 TBS)など多数がある。(株)言霊群団「夢吽空(むんく)」を主宰している。