第6回 明田川進(音響監督) 「1994年 第3期制作時インタビューより抜粋」
ドラマチックな会話劇 『銀河“声優”伝説』
『銀河英雄伝説』では、アニメ化のスタートとなった劇場用長篇『わが征くは星の大海』(1988年)以来、シリーズを通して音響監督を務めた明田川進。本伝第3期を制作中の1994年、音響監督ならではの視点から『銀河英雄伝説』を語った――。
――BGMとしてクラシックが使われていることに関して、どう思っていますか?
音響のスタッフも苦労しているようですが、クラシックの楽曲の音域の広さが、作品の持っているドラマチックさとあいまって、『銀河英雄伝説』という作品のひとつのカラーとなり、ドラマを盛り上げている部分があると思います。
――音響監督の立場から見た『銀河英雄伝説』の特徴とは?
ファンの間で“銀河声優伝説”などと言われるほど、男性の声優には、ほとんど出て頂いていますね。プロデューサーが、後に出てくるキャラクターのために残しておきたいという声優以外はほぼ網羅してしまっています。で、最近は、声優以外から(人材を)発掘しようと、いろいろな劇団の方に声をかけたりなど、他ジャンルで活躍する方々もどんどん視野に入れて探しています。
――アフレコの時の『銀河英雄伝説』ならではのエピソードを教えて下さい。
ほんの一言、「御意!」とか「承知!」などと言うだけの出演者も、そのためだけにアフレコに呼ぶんです。その一言を1、2分で録り終えてしまって、「お疲れ様」っていうことはよくありましたね(笑)それで、他の出演者が「えっ!?それだけで帰っちゃうの?」なんて驚いたり(笑)
――ファンの皆様へ一言お願いします。
たくさんの面白いキャラクターたちが絡み合うストーリーが、ドラマチックに、しかも会話劇で展開しています。原作小説と照らし合わせても内容はほぼ同じだと思いますが、文章での描写が実際に絵になり音になると、「えっ、このキャラクターって、こういうキャラクターだったんだ!」という楽しみがあると思います。
<明田川 進 プロフィール>
1941年11月28日生まれ。日本音声製作者連盟理事。音響監督。虫プロダクション、グループ・タック、サンリオ、手塚プロダクションを経て、現在(株)マジックカプセル代表取締役社長。
映画「火の鳥2772 愛のコスモゾーン 」(1980年)、映画「幻魔大戦」(1983年)ではプロデューサーを手がけた。その他、TVシリーズ「リボンの騎士」(1967〜68年 フジテレビ)、「元祖天才バカボン」(1976年 日本テレビ)、映画「AKIRA」(1988年)、「わがまま☆フェアリー!ミルモでポン」(2002年〜 テレビ東京)、TVシリーズ「名探偵ポワロとマープル」(2004〜05年 NHK総合)など、数多くの作品の音響を担当。