本伝 第4期 [87〜110話]
■ 第87話 「嵐の予感」
脚本:河中志摩夫 絵コンテ:石黒 昇 演出:浅見隆司 作画監督:田中 穣
盟友キルヒアイスばかりか、宿敵ヤン・ウェンリーも喪ったラインハルトは、その喪失感を埋めるべく、日々の政務に励んでいた。ある日、ラインハルトはミッターマイヤーを前に、5年前の嵐の夜のことを語り出す。ロイエンタールは、門閥貴族の子弟を処刑したため軍刑務所に収監されたミッターマイヤーを救おうと、ラインハルトに助力を求めたのだ。これを機に、彼らはラインハルトに忠誠を誓い、数多くの武勲を立てることになる。
■ 第88話 「辺境にて」
脚本:河中志摩夫 絵コンテ:石黒 昇 演出・作画監督:今泉賢一
銀河帝国と自由惑星同盟の激戦場であったイゼルローン要塞。現在はイゼルローン共和政府の根拠地として、民主共和制を守る砦となっていた。ユリアンは軍司令官として、政治首班となったフレデリカを支えつつ、これから進むべき道を探る。遂にユリアンは、銀河帝国に立憲制を敷くことで、共和制の思想を広められないかとの考えに至る。それはヤンの教えではなく、ユリアン自らが考えた目標だった。そんな中、ボリス・コーネフがイゼルローンに驚くべき情報を持ち帰る。
■ 第89話 「夏の終わりのバラ」
脚本:河中志摩夫 絵コンテ・レイアウト監修:清水恵蔵 演出:真野 玲 作画監督:池田裕治
帝国軍戦没者墓地の完工式で、ナイフを持つ男に襲われたラインハルト。取り押さえられた男は、自分はヴェスターラントの犠牲者の遺族だと叫ぶ。男は舌鋒鋭くラインハルトを弾劾する。ラインハルトは、盟友キルヒアイスを喪う原因となり、アンネローゼとの別離をももたらした自らの行為をふたたび眼前に突きつけられ、茫然と立ちすくむしかなかった。その夜、孤独と罪悪感に包まれていたラインハルトは、ヒルダに一夜の慰めを求める。
■ 第90話 「鳴動」
脚本:河中志摩夫 絵コンテ・演出:浅見隆司 作画監督:田中 穣
惑星ハイネセンのグエン・キム・ホア広場では、20万人の市民が集い、戦没者合同慰霊祭が開かれていた。新領土総督のロイエンタールは、杞憂と思いつつも2万人の警備兵を配置する。しかし、何者かの煽動により暴動が発生、双方に多くの死傷者を出してしまう。この事件を皮切りに新領土の各地で反帝国の暴動が相次ぎ、ロイエンタールは秩序回復に腐心する。彼は、この一連の騒動の裏に、帝国の権威のみならず彼個人の信望を失墜させようと企む陰謀を予感する。
■ 第91話 「発芽」
脚本:河中志摩夫 絵コンテ:石黒 昇 演出・作画監督:今泉賢一
ヒルダに求婚をしたラインハルトだったが、明確な返事は得られぬまま。鬱々とした気分を晴らすべく、乗馬や芸術鑑賞で日々を過ごしていた。そんな中、「ロイエンタール提督に叛意あり」との噂が流れる。一方、ハイネセンのロイエンタールのもとには「ラインハルトの病につけこみ、オーベルシュタインらが政治を壟断している」との情報が入る。ロイエンタールは、ラインハルトの真意を確かめるべく、皇帝に新領土への行幸を求める。
■ 第92話 「ウルヴァシー事件」
脚本:河中志摩夫 絵コンテ・レイアウト監修:清水恵蔵 演出:真野 玲 作画監督:鈴木伸一
新領土行幸の途上、ラインハルトは惑星ウルヴァシーに降り立つ。大親征慰霊碑への参拝を済ませ、基地で休むラインハルトの寝所を叛乱兵が取り囲んだ。外部との通信も途絶する中、ルッツとミュラーはラインハルトを地上車に乗せて脱出するが、車中でミュラーはロイエンタールの謀叛を疑う。湖に着水したブリュンヒルトを目指す一行だったが、追っ手の数は多く、ルッツはラインハルトを逃がすため、自らが盾になると決意する。
■ 第93話 「矜持にかけて」
脚本:河中志摩夫 絵コンテ・演出:浅見隆司 作画監督:田中 穣
惑星ウルヴァシーでの騒乱、そしてルッツの死を知ったロイエンタールは、ラインハルトとの間の亀裂が、もはや取り返しのつかない状況だと悟る。彼は謀叛を決意した。オーベルシュタインはさて置き、ラングなどの小者によって自らが追い込まれ、皇帝に弁明するなど、彼の矜持が許さなかったのだ。叛乱者としての途を選んだ彼の胸中には、無二の親友、ミッターマイヤーとの思い出が去来する。一方、ラインハルトもルッツの死を知り、遂に決断を下すのだった。
■ 第94話 「叛逆は英雄の特権」
脚本:河中志摩夫 絵コンテ:石黒 昇 演出・作画監督:今泉賢一
ラインハルトは、ミッターマイヤーにロイエンタール討伐を命じる。ミッターマイヤーは親友のために釈明の機会を求めたが、ラインハルトはルッツへの哀惜と自らの矜持を傷付けられた思いから、その願いを退ける。このままでは皇帝自らがロイエンタールを討伐せざるを得ないと、ミッターマイヤーは苦渋の選択を行う。同じ頃、ラインハルトはヒルダからラングの罪状を示した報告書を受け取る。それは生前のルッツが作成を指示したものであった。
■ 第95話 「双璧相撃つ!」
脚本:河中志摩夫 絵コンテ・レイアウト監修:清水恵蔵 演出:木宮 茂 作画監督:茅野京子
宣戦布告がなされたわけではないが、既にロイエンタールの叛乱は規定の事実となっていた。にわかに戦略上の要衝となったイゼルローン要塞に、ロイエンタールの使者としてムライが訪れる。ラインハルト率いる帝国軍がイゼルローン回廊を通過するのを阻止してくれれば、旧同盟領の返還ばかりかトリューニヒトの身柄を差し出すとの申し出を、ユリアンは拒絶する。一方、叛乱鎮圧の勅命を受け、新領土に向けて進発したミッターマイヤーは親友と最後の交信を試みる。
■ 第96話 「剣に生き…」
脚本:河中志摩夫 絵コンテ:柏木 晴 演出:真野 玲 作画監督:北崎正浩
ミッターマイヤーは「疾風ウォルフ」の名にふさわしく、迅速に艦隊を進めた。その速度はロイエンタールの予想を上回り、両者はランテマリオ星域で激突することになる。当初、ロイエンタール側が優勢だったが、ビッテンフェルト、ワーレンらが到着し、戦力は拮抗。戦線は膠着状態に陥る。そこに、イゼルローン回廊を通過したメックリンガー艦隊がハイネセンへ向けて進撃中との報告が入る。ロイエンタールは二正面作戦を避けるため、ハイネセンへ撤退を決める。
■ 第97話 「剣に斃れ」
脚本:河中志摩夫 絵コンテ:石黒 昇 演出・作画監督:今泉賢一
ハイネセンへ向け撤退するロイエンタール艦隊を、遂にミッターマイヤー艦隊が捕捉した。迫り来るミッターマイヤー艦隊に向け、ロイエンタールが先制の一撃を加えようとした、まさにその時、彼を裏切ったグリルパルツァー艦隊が背後から砲火を浴びせた。旗艦トリスタンが被弾しロイエンタールも重傷を負う。激痛に耐えつつ艦隊を指揮し、ハイネセンに帰着したロイエンタールは、総督府に入り、最後の仕事に着手するのであった。
■ 第98話 「終わりなき鎮魂曲」
脚本:河中志摩夫 絵コンテ:前島健一 演出:木宮 茂 レイアウト監修:清水恵蔵 作画監督:茅野京子
総督府の執務室に入ったロイエンタールは、民事長官エルスハイマーに政務と事務の全権を委ねた。その後、参事官の地位にあるトリューニヒトを呼び出す。現れたトリューニヒトは民主共和制を嘲り、帝国を愚弄し、ラインハルトをも嘲笑した。ロイエンタールは銃を取り出し、なおも「演説」を続けるトリューニヒトを射殺する。夕闇が迫る中、ロイエンタールは従卒に命じてウィスキーのグラスを二つ用意させる。そして、静かに親友を待つのだった。
■ 第99話 「未来への助走」
脚本:河中志摩夫 絵コンテ・演出:浅見隆司 作画監督:村田雅彦
ミッターマイヤーは、新帝都フェザーンに戻り、ラインハルトにロイエンタールの死を報告した。ラインハルトは彼に「卿は死ぬな」と命じる。かけがえのない戦友を喪った悲しみは、ラインハルトも同様であった。ロイエンタールの忘れ形見である赤ん坊を抱いて我が家に戻ったミッターマイヤーを、愛妻エヴァンゼリンは快く迎え入れ、その子に「幸運」を意味するフェリックスという名を贈る。一方、ラインハルトはヒルダから懐妊を告げられたのだった。
■ 第100話 「皇妃ばんざい!」
脚本:河中志摩夫 絵コンテ:島崎征宙 演出:金澤勝眞 作画監督:北崎正浩
新帝国暦3年の新年を祝う祝賀会の席上、ラインハルトはヒルダとの婚約と彼女の懐妊を発表した。二人の結婚式に参列するため、フェザーンまでの長い旅をしたアンネローゼ。キルヒアイスの死後、3年を経てようやく再会した姉弟であった。アンネローゼは、久しぶりに会ったヒルダにラインハルトを託す。1月29日、粉雪の舞い散る中、結婚式が盛大に執り行われた。しかしその最中、惑星ハイネセンにおいて反国家的暴動が発生したとの報が入る。
■ 第101話 「動乱への誘い」
脚本:河中志摩夫 絵コンテ・演出:真野 玲 レイアウト監修:清水恵蔵 作画監督:鈴木伸一
惑星ハイネセンでの暴動を皮切りに、新領土各地で騒乱が起こる。その原因は、何者かが流通を阻害したことによる物資の不足であった。旧同盟領の各惑星は、イゼルローン共和政府に救援を要請する。逡巡の末、ユリアンは民主共和政治を守る立場を明確にすべく、開戦を決意。ただちに艦隊を動かした。「イゼルローン軍、動く」の報は帝国全土に伝わり、ワーレンは艦隊を率いてイゼルローン回廊の出口に布陣した。ふたたび動乱の時代が幕を開けた。
■ 第102話 「敢えて武器を手に」
脚本:河中志摩夫 絵コンテ・演出:鈴木利正 作画監督:田中 穣
要塞を進発した共和政府軍は、大方の予想を裏切って帝国本土側の出口を目指した。これを迎え撃つヴァーゲンザイル艦隊は、ユリアンに接近戦に持ち込まれ、大きな損害を出す。さらには要塞の正面に誘い出されトールハンマーの攻撃で壊滅してしまう。一方、旧同盟領側出口からはワーレン艦隊が進入するが、伏兵として待ち受けるメルカッツ艦隊に攻撃され、こちらも多くの艦を失う。部下の苦戦を見て、ラインハルトは自ら艦隊を率いて出撃するが……。
■ 第103話 「コズミック・モザイク」
脚本:河中志摩夫 絵コンテ:羽生頼仙 演出・作画監督:今泉賢一
病床のラインハルトは、ハイネセンの治安を回復させるべく、オーベルシュタインを全権代理とし、実戦指揮官としてビッテンフェルトとミュラーを補佐に付けた。ハイネセンに到着したオーベルシュタインは、勝利に沸く市民を横目に、旧同盟関係者を次々と拘束。イゼルローン共和政府に、人質の助命は要塞と引き換えだと迫る。このやり方に反発したビッテンフェルトは、オーベルシュタインに掴みかかり、謹慎を命じられてしまう。
■ 第104話 「平和へ、流血経由」
脚本:河中志摩夫 絵コンテ・演出:木宮 茂 レイアウト監修:清水恵蔵 作画監督:坂本修司・鈴木伸一
オーベルシュタインとビッテンフェルトらの不和は、ますます深刻になっていった。ミュラーたちは事態を収拾すべく奔走するが、遂にオーベルシュタインの直属部隊と黒色槍騎兵連隊が衝突する。幸い、ワーレンの活躍で騒動は鎮まったが火種は残った。一方、イゼルローン共和政府も対応に苦慮していた。だが、5000名もの人質がいる以上、フレデリカは帝国からの出頭命令に応じざるを得ないと判断。ユリアンらと共にハイネセンに向けて出発した。
■ 第105話 「昏迷の惑星」
脚本:河中志摩夫 絵コンテ:岡嶋国敏 演出:浅見隆司 作画監督:村田雅彦
旧同盟関係者が収監されていたラグプール刑務所で、何者かの扇動によって暴動が発生し、多くの死傷者が出た。ハイネセンへ向かう途中のイゼルローン共和政府の幹部たちは、暴動発生の報を受け、要塞に一時帰還して事態の推移を見守ることに。一連の報告を受けたラインハルトは、自ら事態の収拾に乗り出す。惑星ハイネセンに赴き政治犯を釈放した彼は、改めてイゼルローン共和政府幹部に対し、ハイネセンにおける会談を呼びかける。
■ 第106話 「柊館炎上」
脚本:河中志摩夫 絵コンテ・演出:篠原俊哉 作画監督:北崎正浩
フェザーンの憲兵本部に、テロを予告する謎の電話が入り、それと前後して爆発事件が発生、市内は大混乱に陥る。そして、アンネローゼと身重のヒルダが滞在している仮皇宮「柊館」を地球教徒が襲撃した。激しい戦闘の中、アンネローゼは身を挺してヒルダを守る。そこにケスラーが駆けつけ地球教徒を一掃、ようやく安全は確保された。しかし、このショックでヒルダは産気づいてしまう。病院に運ばれたヒルダは元気な男児を出産した。次代の皇帝の誕生である。
■ 第107話 「深紅の星路」
脚本:河中志摩夫 絵コンテ:岡嶋国敏 演出:羽生頼仙 レイアウト監修:清水恵蔵 作画監督:鈴木伸一
イゼルローン共和政府への亡命者を乗せた民間船「新世紀号」が、動力部に異常を来たし、救難信号を発した。これをきっかけとして両軍の衝突が起こる。後のシヴァ星域会戦である。帝国と対等の交渉を行うには一定の軍事的成果が必要と考えていたユリアンは、今がその時、と行動を起こす。一方、ラインハルトも自ら艦隊を率いて戦場に赴く。圧倒的な戦力差の中、無人艦を用いた詭計で帝国軍を翻弄するユリアン。その時、ポプランが驚くべき情報を持ち帰る。
■ 第108話 「美姫は血を欲す」
脚本:河中志摩夫 絵コンテ:鈴木利正 演出:浅見隆司 作画監督:田中 穣
「皇帝、不予」の情報を得たユリアンは、総旗艦ブリュンヒルトに強襲揚陸艦を突入させる。病床のラインハルトは幕僚に対し、ユリアンが自身の力で自らのもとにたどり着いたならば、対等の立場を認めようと告げる。ポプランが、マシュンゴが、シェーンコップが、自らの身を挺してユリアンの道を拓く。そして、ユリアンは満身創痍になりつつも、遂にラインハルトの前に立った。ラインハルトは、戦闘の終結を両軍に伝えるようミッターマイヤーに命じる。
■ 第109話 「黄金獅子旗に光なし」
脚本:河中志摩夫 絵コンテ:石黒 昇 演出・作画監督:今泉賢一
遂に講和が成立した。喜びに沸き返るイゼルローン要塞だったが、そこに至るまでの犠牲も、また大きかった。ユリアンは、父、シェーンコップを亡くしたカリンに寄り添い、互いの気持ちを確かめる。帝国軍と共にハイネセンに向かったユリアンは、皇帝が不治の病に冒され、その命数が尽きかけていることを知る。一方、ハイネセンの病院に入院していたルビンスキーは、自ら生命維持装置を外す。次の瞬間、ハイネセンの市街は火の海と化した。
■ 第110話 「夢、見果てたり」
脚本:河中志摩夫 絵コンテ:簧原雅人 演出:羽生頼仙 レイアウト監修:清水恵蔵 作画監督:茅野京子・山本径子
ラインハルトが新帝都フェザーンへ帰還する旅の途中、ユリアンは皇帝と数回にわたり会談を行い、具体的な講和の条件を定めた。フェザーンに到着したラインハルトだったが、容態は急変。死期を悟ったラインハルトは、ヒルダらに加え、ユリアンも仮皇宮に呼ぶ。そこでオーベルシュタインは、皇帝を囮にして地球教徒の残党を呼び寄せたと語る。最後の戦いが始まり、ユリアンはド・ヴィリエを撃ちヤンの仇を取る。そして、ラインハルトにも最期の時が迫る……。